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北アルプスに修業していただきました ^^; 3日目(2011年8月) [北アルプス]

8月23日  大雨 ToT

高天原山荘 ~ ワリモ北分岐 ~ 祖父岳 ~ 雲ノ平山荘(行動時間5時間30分)


23日未明、高天原山荘の屋根を叩く雨の音で目が覚めた。
山に入って以来、毎晩こうして雨の音で目が覚めているが、この日は今までになく雨音が大きい。
大粒の雨に風も加わっているようだ。
夕飯時に確認した翌日の天気予報は「くもり」。 
1日目、2日目は「くもり時々雨」の予報だったので、
この3日間では一番期待できる予報がでているのだけど、この雨、朝までに止んでくれるのかな・・・
(この山域はネット環境なく、携帯も通じない。
 この日富山県に大雨洪水警報が発令されていたことを知ったのは後日のことです)

午前5時。 雨ジャンジャン ToT
水晶岳に向かうには小屋を6時に出発することが前提となる。
朝食を済ませ、出発準備をして様子を伺うも雨はいっこうに止む気配がない。

午前6時、水晶岳はあきらめよう。 そしてもう一度温泉に入って、ゆっくりと雲ノ平に向かおう。
私達がそう決断したその頃、この日最初のパーティーが出発。
昨夜一番遅く18時過ぎに小屋に着いた10名前後のパーティーだ。 恐らく彼らは温泉にも入っていない。
連日の雨でどうしても計画より時間が押し気味になるため、予定通りの出発なのだろう。
やはり団体行動は大変だな…。
他のパーティー、個人は雨の様子を伺い、出発を控えていました。

私達は雨の中温泉に向かう。


11.8.26.1.jpg
高天原温泉貸切~~ \(^o^)/


私達が温泉に向かう途中、やはり温泉から戻ってくる方が ^^; もうひと組のパーティーのリーダーさんです。
このリーダーさんとは、昨日雲ノ平付近でお話ししており、とても感じのいい方。
私達はひと風呂浴びて、のんびり出かけますとご挨拶して分かれる。
そして高天原の混浴露天風呂を貸切でござります~~ \(^o^)/
今回の山旅一番の思い出でもあります。 


8時、雨が小康状態になったのを見計らって高天原山荘を出発。
雲ノ平へのルートは2つ。
高天原峠を経由する急登の最短ルートと、緩やかに岩苔乗越まで登り、祖父岳を経由して向かうルートです。
前者の最短ルートは昨日歩いている。 
ハシゴもあり雨が降るとやっかいそうに感じたので、
時間はかかるものの、私達は後者の大周りコースを歩くことにしました。
急登コースで向かう単独男性がほぼ同じ時刻に出発。 「雲ノ平で会いましょう!」 
結果は… どちらのコースも大変だったことに変わりはないようでした ^^;

私達の選択したコース、岩苔乗越へは緩やかな上り坂。
雨は強くなったり、弱くなったり、止むことなく降り続いています。
中腹を過ぎた辺り、突然登山道が沢になり始めました…


さて問題です。 登山道は右、左、どちらでしょうか~~?
11.8.26.2.jpg


11.8.26.3.jpg

私達が歩くべき道は向かって右側。 これが自然の中を歩くということなのですね。
このあと状況は更に深刻に… 写真を撮る余裕は全くなくなりました。
高天原山荘に引き返すことも検討しましたが、すでに中腹を過ぎており、
この道状態の道を下る不安のほうが大きく、このまま登り続けることに。


そして樹林帯を抜けた頃、最悪のタイミングで雨は最高潮に激しく降り始め、横殴りの雨に。
風も強く吹き始めました(><)
樹林帯では木々がある程度雨を遮ってくれるのですが、
森林限界を越えると雨風をまともに体に受けてしまいます。
ただここで救いだったのは1時間前に出発したパーティーが前方に確認できたこと。
お風呂に行く途中でお話ししたリーダーさん率いるパーティーです。
辛い状況の中で唯一安心できた瞬間でした。

しかしこの先、まだまだ難関が待ち受けています。
岩苔乗越直前、渡渉が控えているのです。 確保なしで渡れる状態なのでしょうか。
遠くにいながらも沢の轟音が聞こえてきます。 そしてやがて沢に到着。
慎重に渡渉ポイントを探します。
大きな岩にポイントがあり、普段であれば沢の上に出ているであろう渡渉用の岩が飛び石として置かれています。
10センチほど水底に沈んでいますが、まだなんとか渡れる状態でした。
ただ恐らくここで靴の中に水が浸水したと思われます。

3日連続の雨中山行でレインウェアの撥水能力はほぼ失われていました。
ウェア内の汗は蒸発せず、立ち止まると汗が冷えてきます。
内からも外からも、頭からつま先まで、体中少しずつではありますが、どこもかしこも濡れはじめていました。
山歩きを始めて4年目、「家に帰りたい…」と初めて思ったのはこのあたりです。

岩苔乗越直前で前方のパーティーに追いつきました。
リーダーさんとは「せっかく入った温泉が台無しですねぇ~」と笑い合います。
こちらのパーティーはこの日は水晶小屋泊とのこと。 ここから小屋まではあと1時間前後です。
私達もまっすぐ雲ノ平山荘に向かいますとお互いの無事を願いつつそれぞれのルートに分かれました。
そしてここからはガスと風、寒さの戦いとなります ToT

11.8.26.4.jpg
祖父岳山頂


ガスが濃くルート不鮮明。 見通しが全くききません。
立ち止まると途端に汗が冷えてきます。
先を急ぎつつも落ち着いて慎重にルート、方向確認し、一路雲ノ平山荘へ向かいます。
祖父岳から1時間半、濃いガスの向こう、突然目の前に山荘が現われた時、心からホッとしました。
13時半、雲ノ平山荘到着。
高天原山荘から、ほぼ同時刻に出発された単独男性も急登の最短ルートにて無事到着されていました。
2箇所のハシゴ地帯は完全な滝になっていたそうです。
やはりどちらのルートを利用しても全身ずぶぬれは免れなかったようです。
最短ルートの男性、コースタイムは3時間半のところ休憩なしで4時間半。
私達の利用した大周りコース、コースタイム5時間10分のところ2回の休憩含め5時間半でした。

雲ノ平山荘には全身水浸しの人がどんどん到着。
皆ずぶぬれを通り越して、まさに水浸し(><)  人が到着するたび、山荘の床は水たまりが出来るほど。
この日の大雨は一日中降り続きました。 本当に酷い雨の一日でした。

山行中、内からも外からも体はすっかり冷えてしまいました。
もし季節があと1ヶ月遅かったら深刻な事態に陥っていた可能性大だったと思われます。
予備日を設定していたので、高天原で停滞するのがこの日ベストの選択であったとも。

私達にとっては貴重な経験が出来た思い出深い一日になりました。
しかし我ながら公開するのも恥ずかしい、見事なダメダメ山行記です。
どうか反面教師として山で悪天の際の行動、悪い例の参考となさってください。

この日の雲ノ平山荘でのお話しはまた次回。



※ご訪問、コメントへのお返事遅れます。 ご容赦くださいませ…
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コメント 22

Taka_Nao

今晩は〜!
温泉入浴後に、雨の中の登山は気合いが入ってますね(笑)
登山での、悪天候はホント大変ですよね〜。
taka_nao二人でアルプス登山は3回ですが、2回は悪天候により登頂出来ずリタイヤしましたから、気持ち解ります。
まずは安全が第一ですからね〜。

by Taka_Nao (2011-09-04 21:43) 

hayazou2002

雨で登山道が滝ですね。
靴も服も大変そうです。
by hayazou2002 (2011-09-05 07:13) 

g_g

いやぁ~レポを拝見して大変な1日でしたね
それでも貸し切りの露天風呂・・・天気が良ければ小原庄助さん?
日帰りだったらとっとと引き返すところですがこの場合はどちらを取るかで事故になるのかも・・・次回を楽しみにしてます。
by g_g (2011-09-05 08:40) 

nousagi

大変な山行になってしまいましたね。
天気によって状況は大きく変わりますから
天気が良ければなんということもないところも
最悪のケースなら遭難にもなるでしょうし。
お疲れ様でした。

by nousagi (2011-09-05 10:11) 

tochimochi

高天原温泉貸切は極楽気分でしょうが、その後が大変でしたね。
雨中の登山、それも稜線上では悲惨な状態になってしまいますね。
私も経験がありますがこれほど酷いことは無かったかと、とにかく止まっていると冷えてしまうので常に動いていました。
by tochimochi (2011-09-05 12:31) 

Jetstream777

お疲れ様でした。 大変な経験をされましたね。 単独だったらなおさら不安になるでしょう。 私だったら引き返していました。
やはり北アルプスのど真ん中、天候が悪化するとキビしいですね。 大変生々しく、参考になりました。 私も肝に命じます。 逆コースだったら、風呂で温まれるのに・・・
by Jetstream777 (2011-09-05 13:36) 

テリー

大変な山登りでしたね。まさに、修行ですね。
まあ、無事で良かったですね。雨の日、山小屋にとどまるか、進むか、なかなか難しい判断ですね。途中で、雨で、道がよくわからない状態なら、私なら、半分を過ぎていても、迷わず、引き返しですね。その方が、道を間違える可能性は少ないですね。
by テリー (2011-09-05 16:44) 

ken_trekking

ん~今回は随分危険な山行となってしまいましたね。
汗の冷えを感じるレベルというのは相当です。情報を
うまく得られない山域での山行について改めて考え
させられました。天気が良かったら最高の写真と文章を
読めただろうに。残念でした。
また天気のいい日に行けたらいいですね。
by ken_trekking (2011-09-05 18:56) 

いろは

こんばんは^^
大変だったとは想像していましたが、迫力ある記事を読ませて頂いて、
天候が悪い時の山は恐ろしいと思いました。
でもご無事でお帰りになれて本当に良かったです!
風邪を引かれたりはしなかったのですね。
明日あたり又お出かけでしょうか?
お天気は良さそうですね(^^)

by いろは (2011-09-05 20:31) 

おど

三日目は最悪の状態だったようですね。 土砂降りの雨の中での山行は色々と困難が予想されます。 体が冷え切るのは危険ですが、標高が高い所では仕方ないかも知れませんねぇ。 それでも、雨が強くなった時どこかでビバークの必要は出てくるかも知れませんね。(下着と替えの服に着替えないと・・・) これが順番が逆だとよかったのですが。(雲の平→高天原→温泉)
しかし、無事に辿りつけてよかったですね。 先日の豪雨のように、土砂崩れなどにも注意が必要ですよ。
by おど (2011-09-05 21:23) 

koiz

かなり大変だったのですね。これだけ降ってしまうと、普通の場所も
あっという間に怖い場所になってしまいますね。ご無事でなによりです。
わたしは軟弱なので「家に帰りたい…」はよくあることです ^^;
by koiz (2011-09-06 15:48) 

よしころん

Taka_Naoさん♪
こんばんは~^^
本当に… 温泉でまったりしておくべきでした。
恐らく次回からは雨が降ったら石のように動かないと思います ^^;


hayazou2002さん♪
目を疑いたくなるような光景でした。
これだけ降られるとさすがの防水も効かなくなってしまいました。


g_gさん♪
高天原の温泉には救われました。
限られた日程の中での縦走登山の難しさを身を持って知りました。
雪渓付近では春と秋のお花が混じってたくさん咲いていたのです。
g_gさんにもお見せしたかったです。


nousagiさん♪
自然に逆らってはいけませんね。
1~2日目も雨模様のお天気でこの日3日目だったので、
少し油断した部分もあるかも…
いい経験をさせていただきました。


tochimochiさん♪
そうなんです。
どの季節でも稜線上で天侯急変の際は逃げ場なしですものね。
最悪のタイミングでした。
tochimochiさんでも経験のない貴重な経験ができたと…
ありがたく思わねば ^^;


Jetstream777さん♪
雲ノ平と高天原の場所が逆だったらよかったのですが…
動かないという選択肢の重要さを身を持って知ることになりました。
恐らく私一人だったら停滞していたと…
次回は自分一人だったらどうする!? を基準に考えてみます。


テリーさん♪
まぁ結果オーライではあるのですが、今回は登るの選択でよかったのかなと…
実際この道を降りてくる方は一人もいませんでした。
それくらい流れ落ちる水の勢いが強くなってきていました。
下に行けば行くほど水量は増えるでしょうから。
by よしころん (2011-09-07 21:09) 

ひろたん

この貸切温泉はいいですね
思わず入ってみたいなんて思ってしまって^^
きっと疲れが取れますよね
これからまた歩きですよね・・・凄いです
登る選択はよかったのですよね
下流は勢いが強くなりますよね
一人ならひろたんは沈殿です。はい・・
by ひろたん (2011-09-07 22:49) 

よしころん

ken_trekkingさん♪
ふだんなら間違いなく出かけないお天気なのですが…
限られた日程の中でのスケジュールについて勉強させていただきました。
翌朝雲ノ平山荘から臨んだ水晶岳は本当に神々しく美しかったです。
いつかまた必ず訪れます ^^v (お天気のときに 笑)


いろはさん♪
ご心配をおかけしました。
この記事を公開することで更に心配をかけはしないかなとも。
でも今回は本当にいい経験をさせていただきました。
今後はご心配をかけさせないよう、より安全登山を心掛けます ^^v
おかげさまで体調は全く問題なしです!
いろはさんはなんでもお見通しでしね ^^;
6~7日で南アルプス仙丈ヶ岳に行ってました ☀☀
夢のような2日間でした~~ \(^o^)/


おどさん♪
おどさんなら高天原から折立まで歩けるでしょうが~~
私達は雲ノ平でもぎりぎりの日程だったので、
最終日の疲れ具合では太郎平小屋に泊ることを考えてのスケジュールだったのですよ。
でも自分達の体力で何日か続けて歩ける時間、距離、等掴めることが出来たことも収穫でした ^^v


koizさん♪
ふだん雨の日は歩かないへたれヤマノボラーには過酷な山行でありまちた ToT
koizさんはお一人で人の踏み入らない山域を歩かれていますものね。
私には真似のできないことで、いつも感心させられています。
でも家に帰ると、すぐ山に帰りたくなるのですが~~(笑)


ひろたんさん♪
高天原温泉、すごくいいお湯でした。
今回体調を崩すことがなかったのは、この温泉のおかげかも~
と思っています ♨
次回からは一人で行動できるかどうかを基準に考えたいと思っています!
by よしころん (2011-09-08 09:00) 

山子路爺

雨の中の野天風呂……風情が有りますねぇ~。
乳白色の湯?サイコー!!!
by 山子路爺 (2011-09-08 10:22) 

ふみ

こんにちわ (^O^)
ナイスをたくさんいただき、いつも嬉しく思っています。
お知らせのみで失礼しますが、このたび、ブログのアドレスを変更しました。
これからも、よろしかったら遊びにいらしてください。
★新アドレス★
http://fumi47.blog.so-net.ne.jp/
よしころんさん、のちほど、ゆっくり記事を拝見させていただきますね。
by ふみ (2011-09-08 10:33) 

よしころん

山子路爺さん♪
高天原のお湯は最高によかったです。
雨に打たれ、4日間歩き続けてもなんともなかったのはこのお湯のおかげかも!
とも思っています!!


ふみさん♪
了解で~す ^^v
初北アルプスには貴重な経験をさせていただきました ^^;
もちろん必ずやリベンジしまっす!
by よしころん (2011-09-08 20:29) 

旅爺さん

パートナーよりよしころんさんの方がしっかりしてますね。
寒い思いは大変でしたが火が入って助かりましたね。
大変な修行でお疲れ様でした。 写真が素敵、顔隠さないでね。
by 旅爺さん (2011-09-09 06:23) 

よしころん

旅爺さん♪
二人でやっと1人前って感じですかねぇ。
今回は二人ということでの油断があったのかもしれません。
とても勉強になった山旅でした ^^v
by よしころん (2011-09-09 07:15) 

makiwarikun

まさに修行ですね。気温がもっと低ければかなり深刻な状況でしょう。読んでいて、2年前のトムラウシ山の事を思い出しました。私が山を始める直前の遭難事件でしたので、当時は結構調べましたよ。自力で下山された年配のおじさんがインタビューに答えているのを見て、その時に出した結論が、遭難しない最後の拠り所は体力だ!ということでした。
仕事が一段落して休みが取れるようになったら、雲ノ平でのんびりしようかと思っています。拠り所の体力が相当落ちている筈なので、ほんとうにゆっくりのんびりと楽しみたいかと…。
by makiwarikun (2011-09-10 21:40) 

CARRERA

水晶岳残念でしたね!
山は逃げませんからまた次の機会にネ。

天高原の温泉は今度入りに行きたいです。

by CARRERA (2011-09-11 21:14) 

よしころん

CARRERAさん♪
はい~、楽しみは先にとっておきます^^v
高天原の温泉はホントお勧めでっす!!
by よしころん (2011-09-12 07:50) 

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